《佐渡視察》トキと暮らす島 生物多様性佐渡戦略に学ぶ

佐渡といえば、今、注目されているのは先日、世界文化遺産への登録が決まった「佐渡の金山」ですが…

佐渡の島全体が「トキと共生する佐渡の里山」として2011年に世界農業遺産に認定されていること、ご存知ですか?
人と朱鷺が共生する島を目指して実践されている、田んぼの生態系に配慮した生きものを育む取組みが素晴らしく、今回はこちらを中心に視察してきました。

『有機農業推進による地域づくり』

2007年の”朱鷺と暮らす郷認証制度”のはじまりにより、佐渡全体にトキを中心とした環境づくりを重視する米作りが広がりました。

慣行米(地域慣行基準の化学合成農薬・化学肥料使用)が主の農業から『朱鷺と暮らす郷認証米』や、5割減減米(地域慣行基準より化学合成農薬5割減・化学肥料5割減)の農業に変わっていき、今や5割減減はスタンダードとなりました。
はじめから有機農業に取り組まなかったのは、農家の負担を考えたから。

今は有機農産品を消費者が求めやすい価格にすることへの挑戦をすすめています。

(取り組みはいろいろ)
・ネオニコチノイド系農薬を使わない
・あぜ道の除草は除草剤を使わず機械除草
あぜ道はトキの夏の餌場となる
・水田での江の設置
米作りでは田んぼから水を抜くこと(中干し)が必要。その際、田んぼに棲む生きものたちが逃げられる江(水辺)を作る
・ふゆみずたんぼ
冬の間も生きものが生息できるよう、田んぼを湿地状態に保つ
・魚道の設置
田んぼと水路を生きものが自由に往来できる通り道を作る

(みんなの意見をまとめると)
有機農業に対する思いは様々。関係者で話し合い、
「安全安心な佐渡産オーガニックを子どもたちに届けたい」
ということで一致。
①生産者の意識醸成
②消費者の意識醸成
③取組みの拡大のためのハード事業
④労働力の有効活用
などで、農業の価値を未来につなぎます。

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緑のあぜ道や、田んぼの上を飛ぶ朱鷺(羽が朱鷺色!)にも感激したのですが、特に印象に残っているのが「農薬や化学肥料が悪ではなくて、今までも安心だけど、さらに身体や環境に優しい米を作りたいってことで、分断したいわけじゃない」という言葉です。また「お米を食べることは田んぼや生きものを守ること、田んぼが消えると生きものが消える」この言葉も胸に刺さりました。

都市部に住む私たちができることの一つは、生産者さんに感謝して、食べて応援すること。
葛飾区でも子どもたちの給食に有機食材をとり入れることを検討しています。有機給食は子どもたちの健やかな身体をつくるだけでなく、産地や生産者さんを支えること、田んぼや畑を守り(広げ)生態系や環境を守ることにつながります。だから、有機給食をすすめていきたい!

佐渡のこと、お伝えしましたが、葛飾区にも貴重な農地(区部では練馬・世田谷に次ぐ広さ)がありますし、美味しい”葛飾元気野菜”を作ってくださる農家さんがいます。
直売所、行ってみてください。美しくて美味しいお野菜に感動しますよ。地元の野菜が食べられる幸せを守っていきたいです。