訪問看護のことをお話しします その3

訪問看護師が行う看護のなかの、家族へのケアは重要です。

介護や療養が必要な人(以下、療養者とする)がいると、家族も様々な影響を受けます。精神的なもの(介護のストレス、今後の生活への不安など)、身体的なもの(介護の疲労、睡眠時間がとれないなど) 家族関係に関連したもの(どう介護したらいいのか、家族間の意思が異なる、家族間の不平等感など)、介護のために離職することになり、経済的な問題を抱える家族もいます。家族へのケアでは、患者さんを抱えるご家族の上記のような影響を緩和し、心身ともに安定した状態で過ごせるようにサポートします。

現在の在宅介護・療養の状況では家族が果たす役割が大きいため、家族が介護できなくなれば、いくら在宅での生活を希望していても、入院や入所せざるをえなくなってしまうからです。また、家族が安心して笑顔でいられる状況は、療養者にとってここちのよいものであるからです。                                                                                 

(家族へのケアの内容)

○家族間の関係へのケア・・家族は、ひとりひとりがそれぞれの思いを持っています。介護を受ける療養者、家族のそれぞれが納得して過ごせるよう、負担が特定の家族に集中しすぎないよう、家族間のコミュニケーションを促し、家族間の相互理解、意思決定、役割分担などがスムーズに行われるよう支援します。

○個々の家族へのケア・・①介護や療養の技術の指導:介護や療養が安心して行えるよう、家族の状況に合わせて指導します。②病状に関する情報提供:医師からの説明の補足をしたり、病状の変化時にはどのように対応したらいいか指導します。家族の不安が強いときには臨時で訪問し、不安な思いを受け止め、寄り添うこともあります。③健康維持のためのケア:介護しながらもプライベートな時間が確保でき、体をいたわり、気分転換しながら生活が続けられるよう、具体的な方法を検討します。療養者がデイサービスやショートステイなどを利用し、家族が自分の時間を持てるよう、ケアマネジャーや施設、病院などと連携をとります。療養者が自宅を離れ、施設を利用することが難しい場合には訪問サービスを調整し、家族の休息やプライベートな時間の確保することもあります。

○関連機関との連携・・①主治医と家族の関係をサポート:医師にどう相談したらいいのか、こんなことは希望していいのかなど家族の思いをくみ取り、医師と家族のコミュニケーションが円滑にいくように支援します。診察や病状説明の場に同席することもあります。②専門窓口への情報提供:経済的な問題など、看護領域以外の問題について、看護師は家族の同意のもとで専門の相談窓口に情報提供し、問題解決を支援します。

現在の在宅介護・療養の状況では家族が果たす役割が大きいため、家族の支援はとても大切です。特に、医療的ケア児、人工呼吸器を使っている人が気軽に利用できる施設(放課後デイ、デイサービス、ショートステイ)や夜間のサポートが不足しているため、それらの人を介護している人の負担が大きいのが現状です。

生活者ネットワークでは地域で介護・介助するケアラー(介護・看病・介助・療育として身近な家族や親族などを日常的に無償で世話をしている人)に聞き取り調査をしました。この調査からケアラーが抱える課題解決のための支援策を葛飾区にも提案していきます。

ケアラー支援 政策提案に向けての調査レポート

都議選政策ケアラーA4のサムネイル

 

医療と介護のおしゃべり会のお知らせ                                           

日時:6月25日(金)10:00~12:00

場所:ウィメンズパル学習室 (葛飾区立石5-27-1)

定員15名  無料

コーディネーター:沼田たか子(看護師・介護支援専門員)

介護や医療、福祉に関することなんでも、話しませんか?

申し込み・問い合わせ:葛飾・生活者ネットワーク

03‐6662‐7676  katsushika@seikatsusha.net